こんにちは
スタッフMです


夕方家族を迎えに行ったら
この寒さと暗闇の中、半ば放心状態で佇んでいたので
どうしたのかと聞いたら
黙って一冊の本を差し出して
たった今これを読み終えたところだ、と。



これは私が昨夜、彼に貸した本。
「明日の記憶」荻原浩


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若年性アルツハイマー型認知症。
私は職業柄、老人性のものを含めこの病を発症した多くの方と関わってきました。

物語の主人公は50代男性。広告代理店の営業部長であり、結婚を控えた娘の父であり、長年連れ添った愛する妻がいる。

病の発見から進行まで、それはもう容赦のないスピードで
この待った無し感が主人公の一人称で語られ
時折「備忘録」と名付けた日記も挿入されて来るのでその臨場感たるや……
完全に突き抜けています。
人の名前を忘れ、顔を忘れ、通い慣れた道もわからなくなり、ついには愛する家族のことさえも。
てのひらに乗せた砂山が指の間からこぼれ落ちるかのように自分の意思に反して記憶を失って行く恐怖、落胆、焦燥、絶望……自我の崩壊。
支える妻の側に感情移入して、まだ泣き所と違うだろうと思われる中盤辺りで既にジワジワとくるものがありました。



ネタバレしてしまうので多くは語れませんが
物語のラストは一幅の絵のように美しく
読み終えた者が寒さと暗闇の中、放心してしまうのも頷けます。
私も読了後はこんな恍惚とした表情を浮かべているのだろうかと思ったら少し不安になりました 。
人前で本を読むのはやめようw



しかし一旦物語から離れ現実的な話をするならば
記憶を失い、自分の事も家族の事もわからなくなった時点で生命の灯火が消えるのかといえばそうではく
人間、死ぬその瞬間までは生きて行かなくてはならないのです。
そして家族はそれを支えて行かなくてはならない。


現実はここからが第二章なんですね。


この第二章で多くの人が苦しんでいます。
介護問題ですね。
これについては語り出すと長くなりそうなので割愛しますが……

もし、さぽーとに出来ること
私に出来ることがあるのであればお力になりたい。
どうしても家を空けなければならない時
認知症のおばあちゃんの見守りをして欲しいとか……
そういった事です。
なにも1人で全てを背負うことはないのです。
お電話ください。
0257-35-5687


以上。
本日のブロガーはスタッフMでした



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